Holy×Kiss~闇の皇子より愛を込めて~【吸血鬼伝説】
 今までに何度、凛花は辛い目にあって、そして、残月の名を呼んだのだろう。

 凛花は本能を呼び起こすような、こんな刺激に慣れていた。

 凛花の中に、そっと指を入れれば。

 身体は、貪欲に僕の指をぎゅっと抱きしめて、快感に震えた。

 しかし、一方で。

 心は、今にも壊れそうで、必死に正気を保とうとしていた。

 相反する心と体が苦しかったのか。

 残月を思ったからなのか。

 凛花の瞳からすぅっと、キレイな涙が一滴、こぼれて落ちる。


「ざ……ん…げ……つ」


 ……お前が呼ぶ、その男は。

 決して救世主には、ならないのに。



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