『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第10話

「最近痩せた?」
そう訊く由紀に首を傾げ「そうかな?」とハンドルを握る昭太郎。

 確実に痩せていた、ここ1、2ヶ月で5キロは痩せていた。

「俺は好きな車で好きな音楽聴いて、カンコーヒー飲みながらタバコを吸ってるときが幸せなんだ。・・・それと、隣にカワイイ娘が助手席に座ってたら最高だ!」

 ボブマーリィが流れる車内で、走る先を見ながらタバコに火を付けた。

「なにそれ~、じゃあ今が最高でしょ?」乗り出して視界に入る由紀に驚きながら

「・・・・・もちろん最高だよ」と小さく言った。

 赤い4駆は快晴の高速道路を飛ばして海岸に向かっていた。

 2人で歩く初春の海岸線。波が穏やかで、静かな波音が繰り返し響いている。

「そろそろ、海も暖かくなり始めたな・・・」

「まだサーフィンはじめないの?」
昭太郎は足をとめ「あぁ、もうちょっと暖かくなったらな・・」と波を眺めた。

「年なんじゃないの?」からかうように由紀が言った。

「そうかもな・・・」

 意外な答えに「えっ」という表情をした由紀。

その表情を隠すように海に目を向けた。

 浜風が吹きつけ、由紀の髪がなびく。

「あったかいコーヒーでも飲まねぇか?」

「カンコーヒー?」覗き込むように由紀が訊く。

「そこのカフェで!」


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