『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第11話

 桜が咲き誇り、公園で夜桜祭りをしているニコニコモンキーズの面々。

酔いながら『さくら』を熱唱する酔っぱらいに手拍子をする仲間達。

股引にカトちゃんヅラをかぶり女子にちょっかいを出す勇介はキャーキャー言われて満足気だ。

敏哉は姫キャラの木村綾乃に酌をする。

木村綾乃26歳。
出版社に勤めるキャリア系OL。
スーツにメガネが少しエロい。
昔から姫になりたがる自己顕示欲の強い女性だ。

昭太郎と光隆は漫才のネタ合わせ。

由紀は女友達と会社の愚痴で盛り上がる。

 漫才のネタが終わったところでハッピ姿の昭太郎が切り出した。
「こんど、我らがニコモンはプロモーションビデオを制作します!」

「なんだよ~それ~!」「また始まったよ!」という声をかき消すように大きな声で

「はい、これが台本!」と挙げた右手にはプロモーションビデオの台本が人数分創られていた。

 いつものことだが、みな昭太郎の行動力の早さに驚かされている。

既に配役も決められていてセリフも事細かく書かれていた。

さらに、最後のページには撮影スケジュールも組まれていて、スタッフの仕事なども詳細に書き込まれていた。

「この企画で真代ちゃんと貴明をくっつけようぜ!キスシーン仕込んどいた」と光隆に耳打ちしながらニヤつく昭太郎。

「なんだよ~俺、殴られ役じゃねぇーか、昭太郎!」と遠くで叫んでいるのはカトちゃんズラの勇介。

 昭太郎はこういう【本格的ごっこ遊び】が昔から大好きだったのだ。



 【あの頃の僕はいつでも何かをしていたかった。何かに追われているようにいつも焦っていた。何かに集中していないと遅れてしまうような気がしていたのかもしれない・・・。
いったい何に遅れ、何より先に行こうとしていたのだろうか?】

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