『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第18話
翌日、夕食を食べ終わった頃に由紀が病室に現れた。
「どう?」
昭太郎は病院寝間着の袖を広げて
「どう?」とオチャメに言った。
「ばか・・・」
誰もいない屋上。
金網に取り囲まれた鳥かごみたいな屋上から星が2つ見える。
寝間着にカーディガンを羽織り、サンダルがアスファルトにこすれる音を楽しみながら歩く昭太郎。
由紀は控えめな化粧に曇った表情をしていた。
「どうなの?病気のことあまり話してくれないけど、今日は訊いてもいいでしょ。」
「・・・だな、うん、データ的には健康なんだって、でもなんか呑気症で、それも癖みたいなことで、空気を呑みやすい体質なんだって、だから吐き気がたまにくるらしい」
と他人ごとのように話す昭太郎に
「健康なんだってじゃなくて、体の調子はどうなの」と少し苛立ちながら問い詰める。
「そんなこと言われたって、よくわかんないよ、医者がそう言うんだから」
肩を落としてわかりやすい表情をする由紀を抱きよせる昭太郎。
「俺だよ、大丈夫に決まってんだろ」耳元でささやき、
キスをした・・・・由紀の瞳を見つめて少し微笑む。
もう一度・・・・・キスをした。
タバコを取り出し、カンコーヒーを開けるいつものスタイル。
横にいる由紀にコーヒーを差し出す、いつもと同じ動きだ。
「病院の屋上で始めてのキスするなんて、ちょっとメロドラマみたいじゃねぇ?」
とからかうように昭太郎。
「昭太郎がしたんじゃない・・・そうやってすぐ茶化す、照れ屋なんだから」
「もう一回する?」
「絶対イヤ!」
【あの頃の僕には余裕があった。なんとなく治る気がしていたし、なんの根拠もない自信を持っていた。この時は人生のちょっとした寄り道で、いい思い出になるような気がしていた・・・。いや、そう思おうと思っていたのかもしれない。】
翌日、夕食を食べ終わった頃に由紀が病室に現れた。
「どう?」
昭太郎は病院寝間着の袖を広げて
「どう?」とオチャメに言った。
「ばか・・・」
誰もいない屋上。
金網に取り囲まれた鳥かごみたいな屋上から星が2つ見える。
寝間着にカーディガンを羽織り、サンダルがアスファルトにこすれる音を楽しみながら歩く昭太郎。
由紀は控えめな化粧に曇った表情をしていた。
「どうなの?病気のことあまり話してくれないけど、今日は訊いてもいいでしょ。」
「・・・だな、うん、データ的には健康なんだって、でもなんか呑気症で、それも癖みたいなことで、空気を呑みやすい体質なんだって、だから吐き気がたまにくるらしい」
と他人ごとのように話す昭太郎に
「健康なんだってじゃなくて、体の調子はどうなの」と少し苛立ちながら問い詰める。
「そんなこと言われたって、よくわかんないよ、医者がそう言うんだから」
肩を落としてわかりやすい表情をする由紀を抱きよせる昭太郎。
「俺だよ、大丈夫に決まってんだろ」耳元でささやき、
キスをした・・・・由紀の瞳を見つめて少し微笑む。
もう一度・・・・・キスをした。
タバコを取り出し、カンコーヒーを開けるいつものスタイル。
横にいる由紀にコーヒーを差し出す、いつもと同じ動きだ。
「病院の屋上で始めてのキスするなんて、ちょっとメロドラマみたいじゃねぇ?」
とからかうように昭太郎。
「昭太郎がしたんじゃない・・・そうやってすぐ茶化す、照れ屋なんだから」
「もう一回する?」
「絶対イヤ!」
【あの頃の僕には余裕があった。なんとなく治る気がしていたし、なんの根拠もない自信を持っていた。この時は人生のちょっとした寄り道で、いい思い出になるような気がしていた・・・。いや、そう思おうと思っていたのかもしれない。】