『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第22話

 「携帯繋がらないからアパート行ったんだけど、昭太郎いないんだよね、何処行ったか知ってる?」
 そう由紀に電話をかけてきたのは勇介だった。

あれから4日が経っていた。

「知らない、あんな人、全然知らない」

「あんな人って、君達付き合ってるんじゃないの?」

「付き合ってるわけ無いじゃない、あんな人知らないわよ」

「なんだよ、ケンカしてんの?」

「ケンカなんかしてないわよ、昭太郎なんてどっかで遊んでるのよ」

「でも、新聞溜まってたよ」

「じゃぁ旅でも行ってリフレッシュでもしてるんじゃないの」

「やっぱ由紀おこってるよ」

「怒ってないわよ」
 ツー・ツー・ツー

「切れたよ・・・、ったく昭太郎のヤツ何処いってんだよ、こないだ海行こうって言ってたのに」携帯を見つめる勇介。

「・・・・・」携帯を胸に当てる由紀。



 水色のトレーナー姿で2階から階段を下りてきた昭太郎。

「かーちゃん!なんかオジヤとか作ってよ」

「何言ってるの、この子は一日だらだらして!」
 庭で花に水まきする母親は溜息をつく。

「だって、食欲無くて、だりぃーんだよ」
また山梨の実家に帰っていた昭太郎・・・。

「明日、別の病院で診てもらうよ」

 溜息をつく母親に「大きな所じゃなくて小さな病院で診てもらうよ、なんか今まで大袈裟にしてたけど、ホントは小さい病気で簡単なことかもしれないし・・・まぁ、大丈夫だよ」笑顔で接した昭太郎だが、母親は微笑まなかった。


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