『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第23話

 目黒のログハウス調のBARカウンターにはロングヘアーにメガネを外した綾乃とデザイナーズスーツを着こなした敏哉がいた。

そこに慌ただしく勇介が入ってきた。

「まいったよ、いきなりの雨で、そろそろ梅雨も明けるはずなのになぁ」
 とおしぼりでシャツを拭く勇介はビーチサンダル。

ここでの話題は昭太郎の失踪問題に集中していた。

「なんか遊びまわってるって噂だけど、なんか聞いてる?」
とメガネをかける綾乃。

黒ビールをグッといった敏哉は
「いや、俺は南国までサーフトリップに出かけたって聞いたぜ」とグラスを空けた。

「携帯がつながらないってことは海外の可能性もあるな・・・」と妙に勇介は深刻ぶった。

「昭太郎ってサプライズ好きだから、突然何かやらかすかもしれないわね」

「一理ある・・・」とアゴをなでながら頷く勇介。

「でも、こないだ話してた検査結果が実は嘘で、また入院してるとか。」

「それはないな・・・」と頭を抱えて悩む勇介。

 ジントニックの氷を転がしながら、タバコをふかして勇介は言った。
「わかった!」

 その言葉に振り向く綾乃と敏哉。

 勇介はグラスをカウンターにガンと置いて告げた。
「あいつ、浮気してる!」

「・・・・・」

・・・・・

「ところで綾乃、最近いい本ある?」

「あるある、ウチで出版したアスリートの書いた本は面白いわ、今度メールするわね。最近どんなCM創ってるの?」
と勇介をおいて2人で話しはじめる綾乃と敏哉。

「間違いねぇーよ、ちくしょー」
 とジントニックを一気飲みして勝手にくやしがる勇介・・・。


< 24 / 235 >

この作品をシェア

pagetop