『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
「でも、なんで、俺がここにいること知ってるの?」

「おかあさんに訊いたの・・・」

「なんだよ、言うなって言ったのに」

「私が5回目に電話したとき、始めて教えてくれたの。昭太郎には言うなって言われてたけど、話すわって言ってくれたの。だから、怒らないでね」

「そうか」

「うん」

・・・・・



第28話

 昭太郎は病院に慣れずにいた。

 病院を抜け出してコンビニで買い物をしたり、点滴を車に乗せてファミレスにも行っていた。

深夜には友人を非常口から病院内に連れ込み喫煙所で遊んでいた。

 入院しながら昭太郎は病人ではないと主張したかったのだろう。

友人が見舞いに来た時ほど元気に振る舞っていたし、悪さもしていた。タバコも辞めることはなかった。


フリーターの勇介は熱帯夜の今日も非常口から連れ込まれていた。
「昭太郎、おまえ痩せたなぁ・・・」

「ばか、病人にそういうこと言うなよ」

「じゃぁ、何て言ったらいいんだよ」

「そうだな、思ってたより元気じゃんか・・・、とかそんな感じ?」

「そんな感じって、なんだそれ」
 少しシリアスムードを漂わせた昭太郎が言う。

「痩せたことなんて、自分が一番よく分かってるよ。でも・・・・まぁ、勇介みたいに素直に言ってくれるのもいいのかもな」

 変わらずハイテンションな勇介が言う。
「だろ、やっぱそうじゃなきゃ!」

「あほか、調子に乗るなよ、俺は病人なんだよ」つられてハイテンションな昭太郎。

「あんだけ遊び歩いといて、都合のいいとこだけ病人になってるよ」

「・・・だな」

「だろ・・・」

 笑い合う2人。
< 30 / 235 >

この作品をシェア

pagetop