『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】
第35話

1週間ぶりに3本の点滴と一緒にオアシスに現れた昭太郎。
「久しぶりだね・・・」

「何度か昭太郎さんの病室に行ったんですけど、いつも寝てたんで体調悪いのかなぁってみんなで心配してたんですよ」と言ったのは髭の男、佐野。

「メシが食えないんだよ、もう1週間も水しか飲んでねぇ」とタバコを1本取り出す。

「タバコ吸えるんすか?」と佐野が訊く。

「水以外のモノを体に入れてぇんだよ・・・」

「メチャクチャですねぇ・・」

「それ、久しぶりに言われた。なんか嬉しいよ、あんがと」

「まぁ、そういう気分わかりますよ」

「さすが病人歴長いね」

「まぁそれほどでも・・・」車イスで照れ笑いの佐野。

「メシが食えないって辛いな、だんだん体力無くなってくるし、気力もなくなってくる」

「大丈夫なんですか?」と車イスを器用に方向転換する。

「点滴ってすげぇよな、メシ1週間食わなくっても生きていられるんだもんな」

「その白いの何ですか?」と点滴を指さす佐野。

「なんか大豆らしい、ソリタだけじゃ栄養足りないらしい」

「ですよね、3本繋がってますもんね」
 タバコに火を付けた昭太郎は少しの笑みを投げかけた。


 こんなたわいもないことが昭太郎のストレス解消になっていた。

タバコが吸えたという普通のことが自分を安心させる。

体調が悪くなればなるほどオアシスへの距離は遠くなる気がするが、たどり着けたときにはすげぇ冒険でもしてきたかのような達成感を味わえる。

そして、病院仲間に病状自慢をすることで気が晴れる。

そんなものだ。

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