DislikeMan~男なんて嫌い~
少しの間、黙ったままだったけど、それがなぜか居心地悪い感じじゃなかった。
私が緊張してたせいかもしれないけど。
「……早苗ちゃんと心次って付き合ってたんだっけ」
なんだか普通のトーンで、さらっと聞かれた疑問は私の緊張を一気に高めた。
できることなら、触れられたくなかったとこ。
だけど、いつか分かることなら、本気になる前に話しておいたらいいのかな。
「心次とは高3のとき……。半年だけ、付き合ってました」
「……」
城西さんはただ何も言わず、前を向いて車を運転し続けてる。
「……付き合いだしたのも心次の身勝手、別れたのも心次の身勝手。
私はずっと、心次のわがままに振り回されただけだったんです……」
あの頃のことを思い出すと、涙が出そうになる。
「……やっぱいいや。早苗ちゃんのそんな顔、みたくない」
「え……」
「なんか思い出させちゃったみたいでごめんね。そんな辛いと思わなかった」
「いえ……」
ちょっと目に映った怒りの光が、何に対するものなのかが分からなくて戸惑った。