狂愛ラバーズ
社長は昨日の事知ってるんだろうか……。





知っていたとしても知らなかったとしてもどちらも厄介。





逃げられたと正直に言ってしまうと娘さんを悪く言ってると思われてしまうかもしれない。





会って、話が進んだと嘘をついてしまうといつかはボロが出てしまう。





ボロが出ないように最善を尽くせばいいんだけど、娘さんと会う手段が一つもない。





娘さんの携帯番号とメールアドレスを社長に聞いたとしても怪しまれるし、三井さんにお願いして奥さんから聞き出してもらう事が出来たとしても、拒否されたら成すすべなし。





経験上、嘘をついてしまうと後で大事になってしまう。





ちょっとした嘘でも、嘘に嘘を重ねていく事になり面倒になる。





やっぱりここは正直に言うしかない。





社長室のあるフロアに着き、足を進める。





深呼吸をして、頑丈な扉をノックした。





「はい。」


「営業部の新名です。」


「どうぞ。」


「失礼します。」





扉を開ければ、オーダーメイドの椅子にドッカリと座った社長が待ち構えていた。




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