狂愛ラバーズ
「出社そうそうすまないね。」


「いいえ。」


「昨日の事なんだが……。」





視線を捉えられ、隠し事は出来ないと思った。





「女将から聞いたよ……。かれんが逃げ出したんだってな。すまなかった。」


「いいえ。」


「新名くん、よかったら携帯番号かメールアドレスを教えてくれないか?かれんにお詫びをさせるよ。」





従わないわけにはいかないし、知られたくないとも思わないから、名刺の裏に番号とメールアドレスを書いて、社長に渡した。





「私からもよく言っておくよ。迷惑かけたね。」


「いいえ。それでは失礼致します。」





名刺を渡したのはいいが……娘さん、かれんちゃんは連絡をしてくれるんだろうか。





お見合いが嫌で逃げ出すくらいだ。





相手の男、僕なんてもっと嫌がられてるんじゃないかな?





新名海斗 27歳。





17歳の少女から見た27歳ってオジサンかもしれない。





17歳のかれんちゃんを子供なんて思わないけど、恋愛対象に見れるかはわからない。





それに、10代の子なんて初めてだ。




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