精神の崩壊
 捜査員達は更に、寝室へも行った。
 
 当然の事ながら、そこも正春で溢れていた。
 
 家全体、至る所に写真や、正春の事が記された、新聞の切り抜きがベタベタと貼ってある。
 
 「よくもまぁ、こんなにいっぱい集めたもんだな」
 「もっと、別な方向にこの動力を使えなかったのかね……」
 
 捜査員の一人が言った。
 
 「これだけの、写真を盗撮するだけでも大変な動力だな」
 「それにしても……」
 「もし、これが自分だったらと思うと…怖いねっ……」
 
 別の捜査員が言った。
 
 捜査員達は、部屋中をくまなく探したが、これと言った物は出て来なかった。
 
 盗撮の証拠物件として、山の様な正春の写真等を押収し、捜査員達は署に帰った。
 
 その後も、宮野あゆみを重要参考人として追っていたが、一向に足取りが掴めないでいた。
 
 そんななか、事件は突然起こった。
 
 警察署に、女の声で一本の電話が掛かって来て、舞川二丁目の『焼鳥中井』の横の公衆電話ボックスに、お前達へのプレゼントを置いておく、とだけ言い残し、電話を切ったとの事だった。
 
 警察が、その電話ボックスに駆け付けると、そこには……。
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