精神の崩壊
 何時までも一行に進展を見ない、猟奇殺人事件……。

 ニュースでは、警察の捜査の甘さを指摘する声等も上がっていた。

 何時までも、犯人への手掛かりすら見付けられない、情けない警察……。

 世間はそう騒いでいた……。

 しかし、警察は警察で、全力で捜査に臨んでおり、辛い立場に立たされていた。

 こんな事件があっては、娘を安心して、学校等にはやれない為、正春は、千春を暫く休ませる事にした。

 最愛の娘にもしもの事があっては……、正春は怯えていた。

 正春が、娘に何も起こらない事を祈りつつ、テレビのチャンネルを変えていると、あるニュースのリポーターが、代わっている事に気付いた。

 どうしてだろうか、そう正春が思った時、一瞬嫌な予感が走った。

 そのニュースを、ずっと見ていると、体調不良の為、暫く休むと為っていたが、正春は、そうは思わなかった。

 何故なら、そのニュースのリポーターの藤田香苗は、正春にしつこくインタビューを重ね、付き纏っていたからだ。

 もしかしたらあの女に……。

 正春に大きな不安がのし掛かって来る。

 そして、正春の嫌な予感は、この後的中する事と為るのであった……。
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