精神の崩壊
新たな犠牲者
 ここ数日間新な事件は起こっていない様だ。

 そう思い、正春が少しほっとしていた頃、既に新な事件は幕を上げていたのだった。

 それは、藤田香苗の家の庭で見付かった。

 香苗の両親が、旅行から帰って来た時に、庭でそれを見付けたのだ。

 香苗の両親からの通報により駆け付けた警察は、庭の植木や鉢植えに飾られたそれを見る事と為った。

 香苗の身体は、バラバラに切断されており、鉢植えに植え付けられ、または、木の枝から、内臓で吊り下げられていた。

 そして、それをカラス達が美味しそうに啄んでいた。

 それは、まるでホラー映画のワンシーンの様で、夢なら早く覚めてほしい、そう思わずにわいられない程の惨状だった。

 その光景を皆は暫く茫然と眺めていた。

 そして、そこには当然の如くそれは置かれていた。

 『題名:ガーデニング』

 DVD⑤(芸術までの工程)

 (………)

 (畜生)
 (またあいつか……)
 (いったい何人殺せば……)

 残酷極まりないこの殺人を何時までも続けさせる訳には行かない。

 なんとしても早く犯人を捕まえなければ。

 しかし、焦る気持ちとは裏腹に、手掛かりは一行に見付からない……。
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