【短編】クリス王子とセシル姫
「今ね、医師に診て貰ってきたの」

クリスが目を上げた。

”医師”というあまりに意外な言葉に、驚いたようにセシルを見る。

クリスと目を合わせたセシルは、また穏やかに微笑んだ。


「赤ちゃん、できてるって」


「―――え?!?!」


相当、間抜けな声を上げたのだろう。

セシルが吹き出した。

クスクス笑う妃を見ながら、クリスは混乱する頭を必死で整理しようと奮闘していた。

「え??え??」

はっきり聞こえた言葉を再度確認するように問いかける。

セシルは笑いながら、「だから、子供ができたの!」と改めて言った。

「―――こ、、ども??」
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