半熟cherry
『なに?』
手にしたグラスをカウンターに置くと。
涼真のところまで行った。
「こんなんやってねぇよな?」
トントンとシャーペンでプリントを突くと眉間にシワを寄せる。
『え?どれどれ?』
ヒョイ、と涼真の手元を覗き込むと。
そこには私が出した宿題の数学のプリント。
『……コレ、夏休み前に説明したじゃん』
「は?」
『成績上位者には予習を兼ねた宿題を出しマスって』
「ウソッ?!」
………コイツ、夏休み前から話聞いてないのか……。
「俺も聞いてねぇよ」
『……最後の授業で言いマシタ……』
郁までこれデスか……。
もう、“おバカさん”通り越して“大バカ”だよ……。
……ため息しか出ません……。
頭を抱えたくなった私に。
ピンポーン。
来客は救世主、のはずだった。