半熟cherry
「…で、どうなの?」
郁と涼真に聞こえないようにするためか。
一美が私の腕を掴んでしゃがみこんだ。
『は?』
一美の言った言葉が理解できなくて。
頭に“?”が飛ぶ。
「“は?”じゃない!!
逢沢クンとはどうなってんの?!」
……どうなってるって言われても……。
『…どうもなってませんケド』
「なんで?!名前で呼んでるのに?!」
『涼真だって名前で呼んでるよ』
「逢沢クンのコトは“逢沢クン”って呼んでたじゃん」
そりゃまぁ、確かに。
さっきはうっかりしちゃってたからな…。
これで郁が“茜”なんて呼んだら何を言われるコトやら…。
なんて思ってたら。
「…茜〜、腹減ったんですケド」
リビングで宿題中の彼の声が。
カウンターのすぐ向こうから聞こえた。