半熟cherry
いやいやいやいやッ。
今、このタイミングで名前なんて呼んだら。
完全に一美が誤解するでしょーが!!
予想通り、一美の顔はニヤニヤしてる。
……も〜、カンベンしてよ……。
「…メシ、まだ?」
もう一度声が聞こえて。
一美と私は顔を上げてカウンターの方を見た。
そこには。
お腹を擦っている涼真がいた。
「…桜井ッ!!お前紛らわしい!!」
「はぁ?!俺が何したよ?!」
郁だと思ってた一美は。
涼真に八つ当り。
なんのコトだかわからない涼真は頭に“?”を飛ばしてる。
その時。
ちょうどいいタイミングで。
グラタンを焼いていたオーブンが。
出来上がりの合図を鳴らした。