この想いは・・・。



でも、俺は決めた。



「おはようございます」


「お、おはようございます」


「クスッ、また噛んじゃいましたね」


「・・・あの」


「なに?」


「お、俺の名前を知って下さい」


「え?」



今日から挨拶で噛んでしまう人から脱出するんだ。


ちゃんと俺が武田剛志って分かってもらうんだ。



そして・・・暁先輩に俺を好きになってもらうんだ。




そう決意した。



「俺、武田剛志と言います」


「・・・」


入社して4年目にまたこの会社の人に大きい声で挨拶するとは思ってもみなかった。



それに暁先輩の無反応だし、失敗だったか・・・?


そう思っていたら後ろから笑い声が聞こえた。



「ジュウ、頑張ってんじゃん」


笑って来たのは、高校からの友達の畠田だった。



「お前今その呼び名で言うなよっ」


ジュウと言うのは俺の高校の時のあだ名。


高1の時にストレスが溜まって10円ハゲができてしまったからだ。


それで、みんなからジュウと呼ばれ始めた。


「ジュウはジュウだろ」


「でも今は言うなよ」



そういえば!!


畠田に気を使いすぎて、暁先輩のこと忘れてた!


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