この想いは・・・。

暁先輩を見ると、ビックリした様な顔して俺を見ていた。


俺なにかしたか・・・?



「ジュウって・・・」


「あっ、俺のあだ名です」



『なんでジュウなの?』って頼むから言わないでくれ・・・。

10円ハゲができたからなんて恥ずかしい・・・。



でも、先輩はそんなことなんとも思ってもなくて、


「高校は?」


暁先輩はいきなり質問を始めた。


「A高校です」


「なん歳?」


「に、26です」


なんだ、なんだ?


「やっぱり!あのジュウくんか」


「え?」


「あたしジュウくん知ってたよ。あたしもA高校でジュウくんの2つ上なの」


暁先輩はニコニコ笑って説明してるけど俺は暁先輩の一言目で頭がストップした。



『ジュウくんのこと知ってたよ』


知ってた・・・?

俺を・・・?

2こ上の暁先輩に俺なんて知られてないと思ってた。



それが知られてとは・・・俺、生きてて良かった・・・。



「10円ハゲできてる1年生って3年で話題だったの。
それに、あだ名そのせいでジュウだし。勝手にジュウくんって呼んでたし、ジュウくんすごい有名人だったよ」



例え・・・あの時の10円ハゲのおかげで俺の存在を知られていても・・・やっぱり生きてて良かった。


< 87 / 195 >

この作品をシェア

pagetop