あなたの部屋で死なせて下さい
「んだよ」
「とにかくちょっと離してもらえませんかね」
「は?お前何この状況で冷静でいられんの?」
うーん、そう言われると何で冷静なんだろう?
少しだけ考えてから一つの答えを見つけ出す。
そうか、私が冷静なのは
きっと自分がしなくちゃいけない事を承知してるから。
覚悟してるからだ。
「あの、少しだけ話を聞いてもらいたいんですけど」
「やーだ」
そう言って顔を近づけてくる。
仕方ない、本当はきちんと土下座をして
お願いするつもりだったんだけど。
一つ深呼吸をしてから
「あなたの部屋で死なせて下さい」
私の胸に顔を埋めようとしているその人に向かってそう叫んだ。