職人の娘。
怖いもの無しの私の、唯一の恐怖。


やっぱりお母さん。


謎な部分が多すぎて、どんな人間かもよく分からない中で、いつも違う空気のお母さんは、やっぱり怖かった…


ばあちゃんが母親がわりに学校へ呼び出されたりしていたけど、この時既に私は道を踏み違えていたのかな?


ばあちゃんの事を、怖いとか思えずに


「ただ鬱陶しい」


そんな存在になっていた。


「ほまれ!!あんた今度は何した!!」


ばあちゃんの怒鳴り声が部屋中に響き渡る。


「別に何にもしてないよ?」


小学校五年の、ある夏の日だった。


「担任の先生から電話かかってきたよ。あんたまた、隣のクラスの男の子殴ったらしいね。」


身に覚えがない。


今日は本当に何もしていないのに。


「ばあちゃん、私そんなの知らない」


友達にもらった可愛い鉛筆を削りながら、私は答えた。


「嘘つくんじゃない!!」


次の瞬間、ばあちゃんの平手打ちがヒットして、私は軽く吹っ飛んだ。


「先生もあんたしかいないって言ってたし、相手のお父さん、お母さんもめちゃくちゃ怒ってるらしいじゃないの!!」


ばあちゃんはまくし立てる。


冷静に頭を働かせる。


いや、やっぱり知らない…
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