職人の娘。
討伐
何故かその日、あたしはそのまま家路に着いた。


葉子を送り届けて、夕飯時には家に居た。


ばあちゃんは相変わらず、あたしに文句ばかり言ってたけど。


そんな事何も気にならなかった。


子供の頃、じいちゃんとばあちゃんに連れられて何度となく、お母さんの働く姿を見たけれど。


今日ほど鮮烈に意識に残る姿では無かった。


「楽しい…んだろーな」


呟いたつもりだったけど、夕飯の支度をするばあちゃんには聞こえていたようだ。


「若い娘が独り言」


微笑を浮かべながらそう言った。


「今日さあ、友達とお母さんの仕事場に飯食いに行った。」

「え!?」


その場にいたじいちゃん、ばあちゃん、和則おじさんは驚いて一斉にあたしを見た。


「お母さん、楽しそうだった。あたしなんかより、ずっと…あたしなんか見えてないみたいに」


不思議なくらい、弱い言葉が次々に出てくる。


「お母さん、やっぱ仕事好きなんだね」


沈黙が気持ち悪かった。


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