Bad Girl~不良少女~



うちが横田組に襲われた日、信二がさらわれたって組長に呼び出された。


裏町の倉庫に行ったけど、信二は敵を倒して逃げたあとだったんだ。


そのあと消息は不明になっていたはずなのに……。


「倉庫から逃げ出した後は、組のやつらとかお前に迷惑かけちゃいけねぇって身隠してたんだ」


やっぱり。


信二はそういうやつだからってあんまり心配してたわけでもないんだけど。


「風の噂で真木家が栗崎家に襲撃したって聞いて、たぶん大丈夫だろうってんで帰ってきたんだよ。


心配かけたな」


いつもと変わらない微笑みを向けられて、なんだか恥ずかしくてちょっと視線をずらす。


「別に」


つい素っ気なくなってしまうのも仕方ない。


「……哲さんも。無事で良かった…」


あの話を聞いたあとでも、なんら変わらない態度で居れるのは、哲さんの笑顔が昔のままだったから。


「組長とケンカして組からいなくなったのに、いまさらどんな顔で会えばいいのか分かんなくて……。


しばらく町離れてたんだ。だけど住む場所もないし、金もほとんどなかったから3日もしたら道端にぶっ倒れてなぁ」


クスッと可笑しそうに笑ったけど、哲さんの話は予想外だ。


「気づいたら病院にいたよ。ちょっと冷静になって考えて、とんでもねぇことしたって気づいてなぁ。


組長のことだからこんな俺の事でも心配してるだろうって思ったから電話は入れたんだぁ」


独特の話し方はいつまでも変わらなくて安心する。


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