Bad Girl~不良少女~
「こっちとしてはそれほど嬉しいことはねぇってんで二つ返事で返した。
もしかしたら、この家にもそんな話が出てるんじゃねぇかと思って来たんだよ」
どうやら流れはうちらに向いてるのかも知れない。
栗崎が、なにやら行動を起こしたのかも知れない。
この短時間で、事が一気に動き出したのかも知れない。
「……なにも、連絡は来てないが…」
親父が少し困惑気味に返せば、察しのいい香矢は階段の下から三波を呼んだ。
もともと期待大の三波は、ドタドタ音を立てながら階段を降りてきて、襖を開けて固まった。
「だ、誰……」
目を見開いたまま小さく呟いた三波を引っ張って、いいからと奥に座らせた香矢は、そのまま自分も三波の隣に腰を降ろす。
「岸田組の組長と、組員。前に稜が家出したときお世話になってたとこ」
三波の耳元でさっと情報を入れると、納得したように肯いていた。
「なんか予定より人数多いんだけど、とりあえず言うわ」
そんな2人の様子を確認して、ポリポリと頭を掻きながら発言する。
栗崎に言われた言葉をその場にいる全員に説明する。
みんな黙って聞いていて、少し難しい顔をしているのは三波だ。
……バカだから理解してないのかも。
一通り話終えれば、あたりには戸惑ったような吹っ切ったような雰囲気が漂う。