時雨の夜に
「俺のことをどう言おうと構わない。けど、今までのことは嘘じゃない。これだけは信じて欲しい」


私はゆっくり首を横に振った。


「もういいよ、もう、何も聞きたくない──」

「澄川さん──!」


呼び止めるシグレの声をかわして、私は走って門をくぐる。


玄関のドアを閉めて背をもたれ、溢れ出る涙と嗚咽を、必死に押し殺していた。











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