時雨の夜に
時雨の夜に君と……





久しぶりに家族で食卓についたというのに、この気分は全く良くなかった。

全然食欲もわかないし、話したくもない。


「姉さん、ダイエット? 新しい彼氏のため?」


デリカシーのない弟の発言には、ほとほと嫌気が差した。


「ほっといてよ」

「やっぱりそうなんだ?」

「やめなさい、お姉ちゃんに失礼でしょ」


私の態度から心情を悟って弟を黙らせてくれた母。


おかげでやっと静かになったかと思ったら、父がバラエティー番組からニュースにチャンネルを変えたので、また弟がグチグチ言い出した。


「あー、今見てたのに!」

「たまにはニュースも見ろよ」

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