不思議病-フシギビョウ-は死に至る
六等星の輝き
バスは高速に乗り、サービスエリアで昼食休憩を取り、目的地を目指していた。
バスに他のクラスの生徒が混じりこんでいた、なんて問題も起きなかった。
そして、目的地は……よく憶えていない。
「藤沢、これからどこに行くんだ?」
今朝と同じでオレの隣に座っている藤沢に聞く。
「……ナオキ、しおりはちゃんと読んだほうがいいよ」
今朝と同じことを言われた気がする。
「次はもう集団宿泊施設――青少年自然の家に到着だよ」
「青少年自然の家か。……どこにでもあるんだな、そういうの」
「ちなみに、地元のアレは青少年自然の森。これから行くところは海だから」
海、か。
「……オレ、そんなに息続かねえよ」
「青少年自然の森は森の中に建ってたけど、青少年自然の家は海の中にないと思うよ」
それは、そうだな。
しばらくして、バスは山の中にいた。
周りは木々に囲まれ視界がさえぎられている。
「……海なんて見えないぞ」
「僕も心配になってきたよ、ナオキ」
もしかして目的がキャンプにすり替わったのかもしれない。
バスの中で多分誰もがそう思い始めたとき、視界が急に開けた。