不思議病-フシギビョウ-は死に至る


「そうだ。我々は合宿に向かうのだ」

手段のために目的を見失うな。



ちらと、キョウスケが腕時計を確認する。

「……そろそろ電車が来る時間だ」

さっきまでのは暇つぶしだったのか。

それにしては本気で話し合いになっていた。もしかしたら大した目的は本当に決めてないのかもしれない。



六人は電車に乗り込み、横長の座席に座る。

人は多くなかった。

「これから何本か乗り換えて目的地に着く」

何本か乗り換えて……。

「どこまで行くんだ?」

純粋に気になった。

「ふむ」

すると、キョウスケはこちらにパンフレットを投げた。

取って、広げる。

旅館のパンフレットのようだ。

旅館の外見や食事――とても合宿とは思えない行き先だ。

そこに地図が併記されていた。

……田舎だ。

となりに座ったリンが、覗き込む。

「……かなり田舎ですね」

リンも同じ感想を持ったようだ。

「旅館はワタシの知り合いが経営しているところでね。質は保証するよ」

キョウスケのお墨付きだそうだ。

……正直、この前の新入部員歓迎会が安い店だったからあまり信用できない。


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