不思議病-フシギビョウ-は死に至る


電車を一本乗り換え、気が付いたら正午だった。

「……誰か駅弁を買ってきたまえ」

キョウスケが言った。

どうやら降りる気はまったくなく、パシリに行かせる気しかないらしい。

しかし、どうやって決めるか。

「……じゃんけんで決めるしかないな」

じゃんけん……それは絶対的な勝敗の決定法。

公平な戦いだ。

そこで、キョウスケが言った。

「キミたち、ワタシを侮っているのかね?」

何を言っている?

「じゃんけん上級者のワタシに勝とうとなど、愚かな!」

じゃんけん上級者……よくわからないが強いというオーラが出ている。

「……じゃんけんというのは必ずしも力の差で決まるものじゃない」

エイヤはちょっと飽きているようだ。

「いやっ!エイヤは何もわかっていない!」

対して乗ってきたサヤ。

「じゃんけんは四人以上ですると相子の確立が上昇する。そこで二回目以降の手はほとんどの場合規則性が生まれてしまうという人間の脆弱性を突くことができるっ!相手の実力をいかに見極めるか……じゃんけんの奥深さは底なし沼より深し」

「そんなに熱くなる事でもないと思うよ」

カナコはあまり乗っていない。


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