不思議病-フシギビョウ-は死に至る


「ある程度なら文芸部の予算で持つから安心したまえ。千円くらい」

「千円じゃ足りねえ!!」

しかし人が多い。

これでは入っていってもすぐにはぐれてしまうんじゃないだろうか。

「ところでさ、二人とも」

カナコが言う『二人とも』とは、この場にいるオレとキョウスケ。

「他のみんなはどこに行ったのかな?」

三人以外の姿が見当たらなかった。



「ふむ。どういうことかね」

「はぐれたに決まってるだろ!」

「ケータイに連絡しないと……」

カナコがケータイを取り出し、電話をかける。

「……もしもし、サヤちゃん?」

今の時代は便利になったものだ。

迷子になってもこうやってすぐに連絡が取れるのだから。

……。

「リンはケータイ持ってねえ!!」

「本当かね!?なんという時代錯誤な……!」

「キョウスケ、突っ込むところが違う!!」

これじゃあリンに連絡が取れない。

「オレ、捜してくる」

そう言ってオレは人ごみの中に突入した。



あとに残った二人。

「あれ……?」

「どうしたね、カナコ君?」

「……サヤちゃんに連絡が取れないよ」

困っていた。


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