不思議病-フシギビョウ-は死に至る
……どこに行った、リン。
オレは人ごみをかき分け進んでいた。
それでも、小柄なリンは見つからなかった。
「リン、どこに行ったんだよ」
ちょっと恥ずかしいが、声を出すしかないか。
「おーい、リンー?」
返事がない。
「リンちゃーん?」
返事がない。
「隠れてないで出ておいでー」
……何だオレは。子供でもあやしているのか。
「リンー?」
さすがに人が多い。
結局、反応はなかった。
これは、迷子センターで呼び出してもらわなければいけない。
いくらなんでもそれはリンにとって恥ずかしいだろう。
だって、名前で呼ばれるんだぜ?
名指しで、この人は迷子になりました、って言われているようなもんだぜ?
顔を赤くして恥ずかしがるリンを思い浮かべる。
……うん、いい。
じゃあ早速迷子センターとかサービスセンターに行こう。
そこで、放送がかかった。
人ごみでよく聞こえないが、
『……からお越しのナオキさん、すぐに迷子センターまで……』
んだと!?
オレが、迷子?
……オレは走ろうと思ったが、あることに気付いた。
「迷子センターってどっちだよ……」