不思議病-フシギビョウ-は死に至る
そこへ、
「……バカか」
エイヤがやってきた。
「言っておくが、オレより先に迷子になった奴がいる」
「ああ、知っているさ……」
少し、怒っているのか、焦っているのか……めずらしく感情が語気から感じられた。
オレはそこで気付く。
「エイヤ……サヤはどこに行ったんだ?」
リンの放送で文芸部メンバーが集まったというのに、サヤは一向に姿を見せない。
「……ケータイがつながらない」
本当の迷子はどうやらサヤのようだ。
「また呼び出すか?」
「……いや、あの放送を聞いて、ここに来なかったんだ。もうこの市場にはいないかもしれない」
一理あるかもしれない。
特にサヤと長くいるエイヤの行っていることだ。
間違いはないだろう。
「じゃあ、サヤさんはどこにいるんでしょうか?」
五人は考える。
サヤが行きそうな場所……と言っても、ここは初めてきた場所だ。
一体どこが……。
「……海、か?」
サヤなら先回りしていることだろう。
「よし、海に行こう」
オレたちは予定を繰り上げ、海に向かった。