不思議病-フシギビョウ-は死に至る

二日目



…はあぁ〜。



……メンドクサイメンドクサイメンドクサイ……。



何がメンドクサイって、今日も部活に出なくちゃいけないんだぜ。



おっ、バスが来た。



こっち来い、と開いた扉を仕方なく抜ける。

バスの中を見渡し、席の状況を確かめる。





いた。

タイヤの関係で高くなった一人席。

オレ愛用席のすぐ後ろ。

そこにちょこんと座り、文庫本を開いている少女。



リン。



……別に仲良くしたいってわけじゃない。

ただ挨拶しないのも気まずいと思っただけだ。

「おはよう」





「おはようございます」

朝。

オレの憂鬱な気分と違ってリンは、隠しながらも爽やかな笑顔で答えた。



その笑顔に見とれてしまった。



オレにしてみれば、学校に行くのがそんなに楽しいのか?と聞きたくなってしまう。

そんな笑顔だった。

「どうしました?ナオキさん」

「あ、いや、何でもない」

「そうですか」

そう答えると、リンは本に目をやった。



何でもないことだった。

だから、いつもの席――リンの前に座った。

のだが、



「何でそこに座るんですか」

いきなり、リンが言った。


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