不思議病-フシギビョウ-は死に至る


「おはよう、ナオキ」

「よっ、藤沢」

バスの何回目かの停車。

藤沢が乗り込んできた。

「ナオキが寝てない……!?」

「当たり前だろ。オレを侮るなよ」

「これは……授業中寝るね!!」

「当たり前だろ。オレを侮るなよ」



そんな馬鹿話をする。



「それで、部活何にした?」

「文芸部」

「うわっ、似合わないっ!!」

「どうせオレには帰宅部しか似合わねえよ!!」

悪かったな!!

「なんというか、何も言えない」

藤沢は笑いながら、オレのとなりに立つ。

今の時間では席はほとんど……いやまったく空いていない。

通勤よりも通学の人間の方が多くなっている。



……そんなこと、昨日までは寝ていて気にしなかったこと。



変わった。



部活に入っている間はこうなのかもしれない。

そして、たまにはこういうこともいいかもしれないと思っている自分がいた。





「学校だ。降りるよ」

「ああ」

軽く返事をして、立ち上がる。

「ナオキを起こさなくていいなんて久しぶりだよ」

「うるさい」

バスが停車する。


ドアが開き、人の流れを生み出す。



リンはオレの後ろを歩いていた。


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