ストレンジソルト
居間の絨毯で寝続ける二人


エミは大の字に寝そべっていて左手が詩音の胸のうえにのっていた

そんな二人にそっとタオルケットをかけてお母さんはキッチンに立ち料理をしながらお父さんの帰りを待った



お母さんは不安で不安でたまらい野菜を切る手も思うように進まない…









ガチャ






「ただいまっ!!!」

しばらくしてお父さんが帰ってきた


お母さんの手がとまる
「あなた…」


「どうした…?


エミ……………


大丈夫だった?」

お父さんは少し疲れた顔でお母さんに尋ねた

「エミは耳が聞こえてないって


…私達の声…



ずっと届いてなかったって」


お母さんの目にはだんだんと涙がたまってゆく


お父さんは静かに口を開いた


「…そうか………」

うつむきながらカバンをテーブルに置き上着を脱いだ





「また一週間後にきてくださいって言われたの

詳しく結果が出るって…」




「…わかった

詳しい事をちゃんときいてから色々考えよう」



受けとめなくてはいけない事実



しかしお父さんとお母さんにとっては決して受けとめたくない事実




お父さんは寝ている二人に気づきしばらく無言で二人の頭をなでた

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