逝く前に
そして飾りつけが終わった頃、その白い中に俺の写真がそっと置かれた。
『何笑ってるんだよ……俺』
黒いリボンが掛けられた額の中の俺は笑顔を見せていた。
遺影になるとも知らないで、友達と遊んでいた時に撮ってもらったものだった。
家族と写真を撮る事も、撮ってもらう事もなくなっていた。
だから、きっと俺の部屋に無造作に置かれていたその写真を遺影にしたのだろう。
「いい顔をしてる」
振り返ると、母さんと、母さんの肩を抱いた母さんの妹がそこにいた。
二人とも全身黒ずくめだった。
いや、二人だけじゃない。
親父も、他の親戚達も皆、黒ずくめだった。