苦くて甘い恋愛中毒
「ねぇ、要。相沢さん…よかったの?」
無意識に口をついて出た言葉に、自分でも驚く。
何言ってんの、私。
「相沢?あー、すず? …さぁ、勝手に帰ってるだろ」
すず?
親しげな呼び方に思わず顔を曇らせる。
そういえば、彼女も“要”って呼んでたっけ。
「帰ってるだろ……って。いいの、それで?」
大事な人なんじゃないの?
その言葉は飲み込んだ。
面と向かって肯定なんかされたら、堪えられる自信はない。
「お前こそ、良かったわけ?」
車を発進させるのと同時に要が口を開く。
その言葉の真意が分からなくて、眉間に皺を寄せる。
良かったのかって、なにが。
「あいつ。五十嵐とか言ったっけ?」
五十嵐さん?
なんで、彼がここで出てくるの。
「さっきそこで別れたよ」
「うん、見てたけど」
じゃあなんでそんなこと聞くの、わけが分からない。
そのまま要も私も黙ってしまって、先程とは違う重苦しい沈黙が広がった。