Monsoon Town
(――私が、陣内さんを好き…?)

那智は陣内の顔を見つめた。

「んっ、どうした?」

陣内と目があった。

「別に…」

那智は目をそらした。

目があっただけなのに、心臓は激しいくらいに脈打っていた。

同時に、さらに顔が熱を持ち始める。

ああ、本物だ。

「つれないのは、相も変わらずか」

小さな声で、陣内が呟くのが聞こえた。

彼は、自分の理想とはかけ離れている――いや、離れ過ぎている相手である。
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