Monsoon Town
陣内は口角をあげると、
「光栄だ」
と、言った。

笑っただけなのに、那智の心臓はときめいた。

「じゃ、気をつけて帰れよ」

「…陣内さんは、帰らないんですか?」

彼と離れてしまうと思ったら、那智の中で急に寂しさがこみあげてきた。

「俺はこれから取引先に行く用事があるからな」

那智の質問に、陣内は答えた。

自分が彼を思っていることに気づいていないのだろうか?

彼に恋をしてることに気づいていないのだろうか?

「そうですか…。

お仕事、頑張ってください」

「お前もな、那智」

そう言って、陣内が笑った。
< 213 / 433 >

この作品をシェア

pagetop