Monsoon Town
上から目線の態度。

端正なその顔立ちを崩してまで見せる笑顔。

形のいい唇からこぼれ落ちる、バリトンの声。

彼が放つ全てに、いちいちドキドキとしてしまう自分がいた。

「じゃ、失礼します」

「気をつけて帰れよ」

那智は背中を見せると、彼の前を立ち去った。

胸が締めつけられるその感覚を隠しながら、那智は歩いた。

だんだんと、那智の背中が小さくなる。

背中が見えなくなると、
「――そこにいるんだろ?」

陣内は声をかけた。

後ろを振り返ると、
「俺が気づかないと思ったか?」

そう言ったのと同時に、隠れていたその人物が出てきた。
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