Monsoon Town
「――母さん…」

陣内は同じ言葉を何度も言って泣き続けていた。

――プルルルルルルッ!

突然鳴りだした電話に、ビクッと躰が震えた。

藤堂は電話の方へと足を向かわせると、受話器を手に取った。

「もしもし?」

「陣内さんのお宅ですか?」

「あ、はい」

知らない男の声だった。

「――実は…」

男が何かを言った。

それを聞いた瞬間、藤堂は耳を疑った。

「わかりました、はい」

受話器を元に戻すと、陣内がこちらを見ていた。

「陣内、聞いてくれ」

さっき電話で聞いたことを、藤堂は言った。

「――お前の母親が病院に運び込まれて、死んだって…」
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