鼓動より速く
走りたい。

走りたい。

走りたい。

段々とそれだけの欲求が、ボクを支配していく。

だが、ボクは走れない。ガラクタが壊れて、ボクも壊れる。
母さんにも、朝は、歩くだけと言っている。

けど・・・。

昨日、見たサイト・・・・。

あれを見たら、歩くだけでは駄目と思った。

ボクは一生、人前で走れない。
何も残せない。
少しでも、ガラクタを鍛え、そして、身体を鍛え、走りたい。

人の見る中、記憶に残りたい。



ボクの歩調は、少しずつ速くなる。

景色がゆっくりと流れ始め、息が上がる。

まだ、いける。

まだ、いける。

まだ、いける。

ガラクタが、悲鳴を上げ始めている。同時に胸が壊れそうに痛い。

ボクは迷っていた。
ここで、走る事を止めれば、ガラクタも、ボクも壊れない。

・・・・・。

ボクは、歩調を緩め、止まった。

ガラクタは悲鳴を上げ、ボクも声に成らない悲鳴を上げ、まだ日が昇らない空を見た。




今日、ボクは中学生になる。
夢を見るのは、もう終わりなんだろうか?

走る事。

たった、それだけを願う事が罪なんだろうか?


五秒も走れないボク。

50メートル走で五秒台を出す者はプロ野球選手並の才野が要る。

ボクは一生、人の背中を見て、走る。

それが、ボクの人生。

・・・・なんだろうか?
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