second〜切ない恋の物語〜
[7]夜景
タバコをくわえながら、野上さんは小走りにやってきた。

「ごめんごめん!集計にてこづってさぁ〜」

そう言って、キーでドアを解除した。




助手席乗るの、なんか嫌だな。

だって、ここに彼女が座ってるんでしょ?

今までどこへ行ったの?

いつも車の中で、どんな話をするの?




「夜景ね、すんげー綺麗な場所あんだよ。」

「はい。」


−沈黙−


「腹減ってない?」

「まだ大丈夫です。」


ー沈黙ー


「…なんかあった?」

「別に何もないですよ。」



いや、ありましたよ。

ショックな事が。

野上さんは、普通なんだ…。

私の一方的な恋。

こうやって誘うのも、

前いけなかったからのお詫びなんだよね。




寂しい。
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