同居から始まる恋もある!?
「……カッコつけかた、忘れちゃったんだよなぁ」
カウンター越しに、律がぱちぱちと目を瞬かせた後に、「なんだよそれ」といいながら笑った。
グラスの水面に視線を落とせば、少し疲れた顔をした自分と目が合う。
自分で言うのもなんだけれど、どちらかといえば俺は器用な人間だったと思うのだ。
勉強もスポーツも、ある程度要領を得れば、それなりの結果を出すことも出来た。大した努力をしなくたって、一番をとることはとても容易かった。けれど、そんなのが通用するのはせいぜい高校ぐらいまでだ。
世の中には、才能を持ちながらも努力を惜しまない人間、また才能がなくたって、努力に努力を重ね、夢を掴み取ろうと必死にもがき、夢を追う人間がたくさんいる。
そんな人達に、運だけで勝てるなんていくら楽観的な俺でも思っていなかった。
『なにやってるの、芹生!あなたなら余裕だったはずでしょう?あんな三流の大学しか残らなくてこの先どうするの。恥ずかしくて、ご近所に顔向け出来ないわ!』
そういって、泣きそうな顔をした母親の顔は、7年前のまま歳をとらない。