先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「神崎、起きていたのか」
「は、はい」


口元を歪めて一度笑った後、ツカツカと僕の側へ歩み寄るとしどけない姿のままこちらのベッドの上へ上がり、両手を突いて顔を寄せて来る。


長い黒髪はまだ乾ききっておらず、水滴がポタンポタンとシーツを掴んだままの手の上へ落ち、寄せられた顔は上記して薄桃色になっており、目は赤く充血しているものの瞳孔が開いている猫のようにセクシーだった。


僕は男、宮澤さんは女。


それをハッキリと意識させられているけれど、体が動かない。


「したければしろ」
「今、何と? 」
「したければしてもいいんだぞ」


誘惑されている、だがこれにハイハイと応じていいのだろうか。


パニック状態の中で必死に考えてみる、一体何故こんな僕へ迫って来ているのかを。


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