先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
しかし、そんな僕の思いを打ち破るような出来事が耳へ飛び込んで来た。


翌日の午後、バイトの休憩中にふとケータイを見てみれば加瑚からの着信と留守番メッセージの録音に気づき、再生して耳へ当ててみる。


『あたしだ、亘理。落ち着いて聞いてくれ、淀川書店が民事再生の申請をした』


民事再生の申請、それは倒産ではないものの会社を立て直す為のスポンサーが見つからなければ倒産してしまうという程の大きな出来事。


出版不況出版不況とは聞くものの、一体どうしてこんな目に遭ったのかが理解出来ない。


それを調べる為にネットへ接続してみれば、原因は不動産投機の失敗とあった。


本を出しても売れない、だから他の分野で儲けなくてはと考えた上層部が不動産へ手を出したものの、突然、去年の秋に起こった世界的な経済破綻の波に巻き込まれてしまい、失敗して負債を抱えたという。


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