先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
パソコンのモニターへ映し出されるセンセーショナルな大手出版社倒産についてのニュースを見詰めながら、この件でショックを受けているであろう加瑚や鷲塚先生こと小鳥ちゃん、それから日之出さんをどうやって慰めようか考える。


この3人は淀川に深く関わっているだけに、今後の生活を考えると僕よりもきつい筈だ。


『大丈夫ですよ、何とかなりますよ』


なんて他人事のようなセリフを言うのも気が引けるし


『これから頑張りましょう』


と言える程の力も持っていない。


あれこれ悩んでいるうちに昼休みの休憩が終わり、店へ戻ってみれば店長から大きな段ボールを渡された。


「神崎君、今からこれに淀川の本を詰め込んで」
「返品ですね」
「そうそう、こういう事は早くしないとね。後になって面倒だから」
「分かりました」


急いで売り場を回り、ラノベ・文芸・コミックと淀川の本を探し出しては箱へ詰め込む。


作家の端くれとして、一度でもそこに関わった者として虚しい思いを抱えながら。
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