先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「これで全てです」
「ご苦労様、それじゃ取次に引き取って貰うから倉庫へ」


台車に乗せた重い段ボール箱3つをガラガラと押し、バックヤードへ運び込む。


この本は取次という卸問屋のような会社へ返品されて行った後、半額か三分の一程度の価格で古本屋の店頭に並べられるか、デパートや露天で催事本屋のワゴンの上に積まれる……。


安く売られても読まれればいいけれど、最悪の場合廃棄も有り得るのだ。


世の中に出回る本は星の数以上に多い、だけど読まれずに廃棄されてしまう本も多い。


やっとの思いで段ボールを積み上げ、職場へ戻ろうとしたら携帯が鳴る。


加瑚から? そう思って携帯を広げて通話ボタンを押し、耳へ当てた後


『もしもし……』


聞こえて来たのは
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