先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
こうして多大なヒントを今も左ふくらはぎへ残る激痛と共に与えられ、僕はマンションへ戻ると大急ぎでプロットの修正へ取り掛かる。


主人公の姉は美青年オネェ、ただそれだけの置き換えだった積りが話が大きく膨らみ、どんどん面白くなって行った。


そこからはもう夢中で、早くもエピローグを書き上げてしまい、翌朝メールでそれを送信してみると土曜日であるにも関わらずキッカリ1時間後にマンションのドアが開く音がする。


「神崎ぃ! 面白くなったじゃねぇか! 」
「ありがとうございます」
「で、今から作品のアップを始めろ」
「今からですか? 僕、徹夜してて……」


後の言い訳はムチの音にかき消され、僕は徹夜明けでフラフラする頭を抱えながらベリーラブのサイトへそのプロローグをアップさせられた。


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